2022年12月3日に公開された映画スラムダンク「THE FIRST SLUM DUNK」を見てきましたのでレビューしてみていなと思います。
声優さんの総入れ替えを隠して前売り券を販売したことで炎上したり、映画のあらすじが公開本番まで分からなかったりと前評判はすこぶる悪い状態でした。
ただ、前評判が悪すぎたせいか実際の映画は「感動した」や「泣ける」という感想がTwitterでも見られるように、そこまで悪い作品では無いかと思います。
特に私は次の部分が良かったなと感じました。
- CGによるリアル感あるバスケットの動き
- 彩子さん可愛い
- 試合での良い展開で流れる挿入歌がカッコいい
- 宮城の円陣や沢北が泣き崩れるオリジナルシーン
- 宮城リョータのサイドストーリ
その一方で原作の大事な部分が抜けてたり、「あれ?」と思うシーンがいくつもあり、神映画か?と言われるとそんなことは無く、不満点も多くある作品だったと感じました。
私の評価としては5点満点中3点で、人によって5点や1点にも変わる評価の分かれる映画ではないかと思います。
Twitterのコメントであるような「感動した」や「会場中が大号泣」という評価の一方で、「あまり良くなかった」という感想も目立ちます。
結論から言いますと、映画の内容としては宮城リョータ視点での山王戦なんですが、原作の山王戦をCGで再現したことは大変すばらしく、スピード感あふれる試合描写は見る価値十分です。
一方で、試合のストーリー性に関しては原作の1/10くらいの内容で、かなり物足りません。
(原作の大事なシーンの多くがカットされています)
映画に求めるもので評価が賛否両論なものになり、原作の感動を求めている方には、すこぶる低評価の映画になるかと思います。
また、試合のストーリーがかなり薄いのでスラムダンクを詳しくない方(新規の方)、途中で見るのを辞めてしまった方はマジで楽しめないと思います。
当記事ではマイナス面に焦点をあてて、実際に私が映画を見て感じた不満点をガチンコで紹介していきます。
①原作の大事な部分が大幅カット
スラムダンクの映画で私が1番残念だったのが原作の大事な部分の大幅カットです。
次の原作ではかなり重要なシーンの多くが映画では見られませんでした。
- 試合前日や安西先生の試合前に選手を励ますシーン 、安西先生の作戦
- 前半戦が大幅カットで5分位で終わる (丸男の登場シーンなし)
- 魚住の「お前はカレイだ。ドロにまみれろ」
- 海南選手の出番なし
- 安西先生の「おい・・・見てるか谷沢・・・」
- 流川の仙道と1on1をしている回想シーン
- 流川にパスを貰おうとしてチャンスをつぶす and 名誉挽回のファインプレー
- 赤木の涙のシーン
- 堀田番長の「すげえよ三っちゃんも桜木も。涙が止まらねえよ」
- 桜木の「大好きです。今度は嘘じゃないっす」
- 桜木の「ゴリ!!まだ追いつけるよな!!」
- 沢北がどれだけ強いのかや山王がどれくらい強いのかの説明なし
映画ではいきなり山王戦がスタートするので、それぞれのプレーに関して安西先生の作戦部分が反映されていないため、序盤の盛り上がりがかなり薄くなっています。
(例えば、「序盤は三井寿」など)
また、ゴリが立ち直るシーンが改変されていたり、流川のパスをするくだりが無かったりで試合においてゴリや流川がなぜ覚醒したのかが分かりにくい。
(流川がフッと笑うシーンが、映画だけでは何故笑ったのかの意図が不明な状態に)
また、流川がパスをするのを見て桜木がパスを貰おうとチャンスを潰したり、流川の「お前のミスは計算済みだ。ド素人」というくだり、チャンスを挽回する桜木のファール寸前のファインプレーが描かれてないのは残念でした。
そのため、ただ沢北がシュートを1本外しただけにしか見えなかった。
その他、色々と原作での重要シーンがカットされており、山王戦での感動や盛り上がりが全く映画からは感じられない状態。
また、山王工業についての説明や沢北の昔話が無いため、強さが中々伝わってこなかった。
➁試合の流れをぶち壊す回想シーン
映画は宮城リョータのサイドストーリ的な側面が強く、宮城の過去の話が明らかになりつつ試合が進みます。
そのため、せっかく試合が良い感じの時に急に宮城の回想シーンが入ってしまうので、盛り上がりが完全に消えてしまいます。
試合→回想→試合→回想→試合みたいな感じで映画が進むため、試合が何回もぶつ切りになるのが非常に残念でした。
せっかくのスピード感あふれる試合描写も台無しになってしまう演出になってしまったなと思います。。
③「あれ?」と思う違和感のあるオリジナルシーン
映画ならではの原作にはないオリジナルシーンがあります。
- 宮城リョータの円陣
- 宮城と三井が中学で会っていた
- 安西先生と奥さんがランニングするシーン
- 沢北が泣き崩れるシーン&神社で祈るシーン
と結構ジーンと来る良いシーンは必見です。
ただ、原作ファンの方には次のような「あれ?」と違和感を感じるシーンもありました。
- 赤木が覚醒するのきっかけに変な先輩キャラが出てくる
- 宮城のバイク事故
- 赤木2年夏の大会で謎の高校
- 沢北 VS 宮城の謎のライバル関係
- ラストの桜木回想シーン
河田兄を前に自信喪失した赤木。原作では魚住によって覚醒するきっかけが映画ではカット。
その代わりに映画オリジナルの赤木の1個上の先輩が出てきてワチャワチャするシーンで自分を取り戻すきっかけに。
正直、これやる位なら原作通りの魚住投入で良かったのでは?と感じました。
たしかに、体育館に包丁持ちこむ魚住は今では問題視される犯罪行為としてカットされたのかもしれません。
ただ、宮城の母親が小学生の息子を殴るシーンがOKで包丁がNGというのも少し変な感じはありますが。
また、宮城と三井が殴り合いをして宮城が入院するシーンも、なぜか宮城がバイクで暴走して事故るというシーンが追加される。
細かい話でもありますが、赤木2年の夏大会の相手が陵南でもないし、入院しているはずの宮城がベンチにいるしで何か原作ファンとしては少し違和感はあります。
作中で一番謎だったのがラストシーンの唐突な沢北 VS 宮城のライバル関係。
学年が同じなのは分かりますが、アメリカで戦うシーンは無理やり感満載でいらなかったのでは?
後、作中では宮城が主人公だったのに、山王戦の最後に桜木の回想シーンが流れるのは中途半端な印象を受けました。
④宮城の強さが伝わってこない
映画で少し残念だったのが宮城が主人公なのに宮城の本来の強さが伝わって来なかったことです。
原作の宮城は強豪の陵南高校にスカウトされるほどのグッドプレイヤー。背は低いが、スピードとテクニックを生かしたプレイが魅力。
入院期間というブランクがあったにも関わらず、神奈川でも屈指のポイントガードと評価される圧倒的実力があります。
ただ、回想シーンで赤木が宮城を馬鹿にする先輩に対して「宮城にはパスがあります」とパスしか魅力ないのか?と思わせるような発言や、1年夏大会でずっとベンチにいるのにも疑問がありました。
(原作ではそもそも入院してたのでは?という違和感もありましたが)
映画では宮城の強い部分が描かれおらず、三井に目を付けられてボコボコにされる動機がかなり薄れてしまった印象です。
⑤桜木の声の違和感
私は原作派だったのでアニメはそんなに見ていないのですが、桜木の声はどうしても違和感ありありでした。
声優さんが変わったので仕方ない部分なのですが、桜木の声だけは最後まで私は馴染めませんでした。
Youtubeで過去のアニメが再放送されていたのを見てしまったのも原因かもしれませんが。
⑥晴子さんが可愛くない
結構ショックだったのが晴子さん。
アニメや原作の可愛さが再現されてなく、残念な感じになっていました。
回想シーンの「バスケットはお好きですか?」がアニメの方が全然良い。
一方で彩子さんは結構グラマラスで可愛さはアニメ以上に良かったです。
※原作の山王戦はさいこうですよ!!
今回の映画には原作ファンにはがっかりな部分はありましたが、たしかに映画ならではの良さもありました。
ただ、山王戦のストーリーという1点だけに注目したら原作の方が断然感動します。
あの頃の青春をもう一度漫画で味わってみませんか?