GW明けから全国各地で石油化学プラントにおいて大規模な定期修理工事が行われます。
この定期修理工事とは、何年間に1回という決められた割合でプラント内の装置を止めて、補修だったり、設備の改造・改善、メンテナンスだったりします。
この定期修理工事は、普段の何倍もの仕事量のため、地元の業者だけでは太刀打ちできないため、全国各地から業者・職人さんを呼んで行きます。
この定期修理工事は、「3密が避けにくい」「全国から人が移動してくる」といった特徴をもっており、実はコロナ渦にあって相当相性が悪いです。
「3密」の状態がたびたび発生し、クラスターとなる危険性があります。
苫小牧の出光の定期検査で大量の人が全国からやってくるのヤバいけど、全国各地で同じような定修工事あるので、絶対クラスターになって工事完遂しないと思うな。
— 平太@月間1万pv達成ブロガー (@zakiiy0810) 2020年4月22日
旅館なんて風呂共同、食事共同、現場事務所きつきつ、朝の体操に何千人が一同にあつまる。
コロナまったなしの環境間違いなし
普段はよくわからい石油化学プラントの定期修理工事は、実は、コロナを全国に拡散させる危険性を潜んでいます。
多くの方にこの危険性を知ってもらいたく記事を作成しました。
私は、石油化学プラントでの定期修理工事に毎年関わっており、今まで出張であちこち行った経験があります。そういった、定期修理工事に関わっている経験から記事を作成しております。
3密を避けにくい4つの理由
定期修理工事は、通常の工事と比べて何倍もの人数が工事に関わります。
そのため、「密閉空間」「密集場所」「密接場面」のいわゆる「3密」をさけにくい状況が多々あります。
以下に、定期修理工事が3密を避けにくい理由をまとめてみました。
- 大勢で車で移動
- 大勢での朝礼・仮設詰所(休憩所)・喫煙所での密接
- 旅館での共同風呂、食事、洗濯
- 仕事中での密接
それぞれ詳しく見ていきましょう。
① 大勢で車で移動
ホテルや旅館から、車内満員の状態で移動します。プラント内でも車で移動したり、人によっては車内でご飯を食べたりします。
プラント内での駐車場の数が限られている、経費の関係上、可能な限り相乗りで車で移動することになります。
また、現場での休憩所が非常に狭いため、昼や休憩を車で取る場合があります。
車内の3密は仕事をする上で絶対に発生します。
②大勢での朝礼・仮設詰所(休憩所)・喫煙所での密接
通常、定期修理工事では、全社集まり、朝礼としてでラジオ体操・肩たたき・連絡事項があります。
その後、各会社ごとに集まり、ミーティングを行い、本日の作業内容の確認・注意事項の確認を行います。
私も何度も参加しておりますが、非常に密集してラジオ体操する際に、隣の人に手があたるほどです。
プラントによっては、全体朝礼が無くなっているところもあるので、定期修理工事ではコロナ対策として朝礼が無くなる可能性があります。
また、休憩所も仮設のプレハブで定期修繕工事のために作られたものです。
各社が共同で使用するので、結構キツキツで座ります。隣の人と肘があたるぐらいの近さです。
そのような状況で、昼はご飯を食べます。ツバも飛びかっていると思います。
また、常にほこりっぽくて、換気が十分に出来ているとは言えない状況です。
また、喫煙所も狭いので、休憩時には、いつも多くの人が密集してタバコを吸っています。(私はタバコを吸わないので、周りの人から聞いた話です)
千葉の三井化学市原工場内でクラスターが発生
三井化学の仮設詰所でクラスターが発生したニュースが。
ついに恐れていたことが現実になった形です。
詳細は、以下のニュース記事を参考。
【新型コロナ詳報】千葉県内で35人感染 千葉市の工事現場でクラスター、接触の121人検査(千葉日報オンライン) - Yahoo!ニュース
③ 旅館での共同風呂、食事、洗濯
全国から多くの作業員の方がやってくるので、プラント周りのホテル・旅館は満員の状態になります。
その中で、一番の心配事は旅館での共同の食事、風呂、洗濯関係です。
私も過去に旅館に泊まって工事に関わったことがあるのですが、朝夕での食事時には、多くの人でごって返しています。
また、風呂・コインランドリーも人がいっぱいです。かなり、密接距離になるので、結構心配です。
また、夕食がついてない場合は、近隣のコンビニやスーパなどで利用することになります。特にホテル近くのコンビニは、作業員の方で結構にぎわっています。
④ 仕事中での密接
定期修理工事中は、普段より人が非常に多く、大勢の方が現場を行き来します。
また、普段の作業は互いに声を出し合いながら、密接な状態で作業を進めることが多いもいます。
また、現場作業における監督者からの作業指示、KY(危険予知)活動、他社の作業員との打ち合わせなど、密接して作業する機会が非常に多いです。
また、圧力容器などの機器の中で作業する場合は、複数人が密閉された空間で作業を共にする危険性が多々あります。
その他の心配事
3密以外のコロナに関する心配ごとをまとめてみました。
- 全国各地を移動する事 (拡散の恐れ)
- 連勤による疲れ、免疫力の低下の恐れ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①全国各地を移動する事 (拡散の恐れ)
全国各地から、一つのプラントに出張しに来ます。
工事の規模、人手不足、工期(納期)などの関係から、地元の人だけでは工事を施工することが出来ません。
多くの業種で、全国の支店・営業所から人を集めてきます。
また、定期修理工事期間は、地元のプラントだけでなく、あるプラントの定期修理工事から、他の地域のプラントに移動することが多々あります。
そのため、今現在の外出自粛をせっかくしているのに、石油化学プラントの定期修理工事により、多くの人が全国各地に移動することが起こります。
そのため、全国各地に拡散することがかなり懸念されます。
②連勤による疲れ、免疫力の低下の恐れ
定期修理工事では、土日休みなく連勤で仕事をすることが多々あります。
特に1か月近く、まるまる休みが無く毎日働くケースは普通にあります。
また、監督者や責任者の立場になると、100時間近くの残業をしなくてはいけない場合があります。
過去に自分もこれくらいの残業をしたことは多々あります。
人手不足により、交代要員がおらず、代わりばんこで休むことが出来なくなっています。
そのため、疲れにより免疫力が低下することが予想されます。
まとめ
GW明けに次々と行われる、石油化学プラントでの定期修理工事における、コロナ関連の危険性を記事にまとめてみました。
普段はあまり知られていない、石油化学プラントでの定期修理工事ですが、その特性上、3密状態が中々解消することは非常に難しいと思います。
良く言われている、2mのソーシャルディスタンスを守ることは、ほぼ無理に近いと感じてます。
また、各地で外出自粛を要請し、他の県には移動しないように呼びかけている中、全国各地から出張者が来る定期修理工事は、全国にコロナを拡散させる要因になる可能性があります。
そのため、普段はよくわからない「石油化学プラントでの工事」について、こういった危険性が潜んでいることを知ってもらいたく、記事にまとめてみました。
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