内定をもらったけど、大学院に進学したい気持ちが大きくなって迷っていませんか?
就活を始めた頃は大学院は意識していなかったものの、本格的に研究を始めてみて「大学院で研究をしたい!!」という気持ちが高まってきていませんか?
就職か大学院進学か究極の二択から一つを選ぶ訳ですが、どちらが正解ということは無く、どちらを選んでも立派な選択です。
「大学院に進学したら就職が不利になる」という話も聞いたことがあると思いますが、大学院への進学によって極端に不利になることは無いと思います。
特に、理系の場合は多くの学生が大学院に進学しますので、研究職・技術職を狙う場合は院卒の方が有利になるとも言われています。
ただし、せっかくの内定を辞退して大学院に進学する上でいくつかのデメリットも存在します。
例えば、大学院に進学したからといって、次の就活で同様に内定を頂けるとは限らないこと。
また、今まで就活活動を行っていたことで、初めから大学院進学組の同期と比べて不利になる部分が出てきます。
そのため、内定を辞退して大学院に進学するにあたってのデメリットをしっかり理解した上で、就職か進学かの選択を選ぶことが大切です。
当記事では理系大学院を卒業した私の経験を元に、内定を辞退して大学院に進学するか迷っている時に考えるべき4つのことを紹介しています。
当記事を紹介することを踏まえて、それでも「大学院に進学したい!!」と思えるなら大学院進学に挑戦してみてはどうでしょうか?
1.内定があるのに大学院に行きたい時に考えるべき4つのこと
内定を辞退して大学院に進学する上でいくつかのデメリットを理解しておくことは重要です。
特に、人生の大きな決断をする前に次の4つの事について、しっかり考えるべきだと思います。
- 2年後に同様に内定が取れる保証は無い
- 初めから大学院を目指している同期との差
- お金の問題
- 内定ブルーの問題
それぞれ詳しく解説していきます。
①: 2年後に内定が取れる保証は無い
私が所属していた研究室でも、大学4年時の内定を辞退して大学院に進学する人は何人かいました。
しかし、その人たちが必ずしも大学院で再び内定をゲット出来ていいる訳ではありませんでした。
私の先輩は学部生の頃に優良企業から内定を頂いていたのですが、大学院では本当に内定ゼロの状態で卒業してフリーター生活を送ってしまっています。
こうなってしまった原因としてリーマンショックによる就職状況の悪化、自堕落な大学院生活の2つあったのでは?と思います。
特に、昨今のコロナの影響など、いつ何時就職状況が悪化するかは誰にもわかりません。
(この先輩が学部生の頃は売り手市場でイケイケジャンジャンの状態で複数の内定を頂いていました)
現在内定をゲットしていても大学院に通っている2年間で就職状況が変わることも無いとは言えません。
また、大学院生の就活は「研究室での成果」が当然問われます。
大学院での成果が十分に得られなかった場合、就活でのアピールが出来ずに就活で不利になることは否定出来ません。
上記の理由から、今内定があるからといって2年後も同様に就活で内定が得られる保証は全くありません。
私の先輩も「大学院に進学しなければ良かった」とすごく後悔しながらアルバイトに向っているそうです。
➁:初めから大学院を目指している同期との差
就活組と大学院進学組とでは研究に関してどうしても差が出来てしまいます。
大学院進学組は院試勉強期間の1か月ほどを除き、平日は毎日研究室にきて研究を頑張っています。
就職組は大学院進学組と比べて研究室で研究している時間は明らかに少なく、その結果、大学4年時の研究成果で進学組の方が上回ってしまいます。
就職活動に時間をかけた分だけ大学院進学に関して言えば無駄な時間でしかなく、同期と比べて差が広がってしまいます。
(もちろん、就活のノウハウを知っていることは次の就活で活かすことが出来ます)
大きく広がった差は大学院に持ち越され、次のことで不利になる可能性が高いです。
- 学会発表や論文
- 奨学金の免除や、学内の給付型奨学金の申請
- 大学院での就職活動
特に、大学院に進学して学会や論文での発表があるか無いかはかなり大きく、日本学生支援機構の第一種奨学金の免除等にも大きく関わってきます。
上記の点に関しては研究量が必然的に少なくなる就職組の方が不利であり、少なからず大学院での影響はあると思います。
また、研究室に配属当初の就職組と進学組とでは与えられた研究テーマの重みが違うことがあります。
3年間大学院で研究する予定の学生と、就職活動をしながらの1年で研究する学生に同じレベルの研究テーマを与えるとは思いません。
大学院進学組の学生には研究室での核となるテーマを与えたり、学会発表や学術論文を意識したテーマが与えられるはずです。
よく「このテーマは学部生向きのテーマ、このテーマは院生がやるようなものではない」といった先輩の声を聴いたことがありませんか?
指導教授が学生に与える研究テーマの重要度は、どうしても3年間研究が出来る大学院進学組が優先になってしまいます。
この影響は大きく、大学院進学組の方が良いテーマを与えられていることが多いので、学会発表で賞を狙えたり、学術論文が通りやすかったりと研究が上手く行ったときの成果が大きくなります。
あなたが大学院に進学した時に、周りの同期と比べてしっかりと戦える状態なのかはしっかりと考えておく必要があります。
(研究成果で周囲を超えないと、奨学金免除や就活で影響は出てしまいます)
③お金の問題
大学院進学での1番のデメリットは、お金の問題ではないでしょうか?
大学院での研究生活は意外と厳しく、アルバイトをする余裕は中々無いと思います。
研究室によってはアルバイトが禁止の所もありますし、学費を稼ぐためにアルバイトをしていたら研究に力を入れることが出来ません。
多くの大学院生は必然的に日本学生支援機構の奨学金を借りることが多く、(学部生の時に借りていれば) 卒業後の返済額がより多くなってしまいます。
また、日本学生支援機構の奨学金だけでは学費+生活費を補うことは無理で、研究に集中するためには両親の支援が必須です。
(第1種と2種を両方借りている大学院生もいますが、卒業後の返済が本当に苦しくなります)
理系の研究室で奨学金とアルバイトだけで自分の力だけで大学院を卒業することも可能ですが、アルバイトをしだしたら研究がおろそかになって大学院に進学する意味が無い状態になるかもしれません。
大学院での研究に集中する環境を作るには両親の支援が必要不可欠なので、授業料や生活費といったお金の問題については両親としっかり話しておくべきです。
また、日本学生支援機構の第1種奨学金には「特に優れた業績による返還免除」という制度があり、多くの大学院生が免除を目指して研究成果を上げようと必死です。
ここを取れるか取れないかで本当に人生が変わります。
学術論文への投稿や学会発表での賞といった成果が必要ですが、そのためには研究に100%集中する必要があり、中々アルバイトの時間が無いのは実情です。
④:内定ブルーの問題
内定を辞退して大学院に進学を考えている人の中で、大学院に行きたくなったというよりも、内定ブルーのせいで就職を先延ばしにする理由の人がいます。
内定ブルーとは就職前に「本当にこの会社で良かったのだろうか?」と不安になる現象の事です。
参照記事:内定ブルーとは?原因と解消方法を解説 | お役立ちコンテンツ|アカリク
結婚前に「本当に大丈夫だろうか?」と漠然と不安になるマリッジブルーの就職版です。
来年から社会人になることに対する不安も含まれているのかもしれません。
こういう内定ブルーは誰にでも起こりうる現象のようですが、就職が不安という理由で代わりに大学院に進学しても意味がありません。
研究が目的じゃないと大学院での厳しい研究生活が苦痛になり、ツライ思いをすることになります。
私の同期にも就職組だったのに内定を蹴って大学院に進学した人がいましたが、研究が嫌だったのか、しだいに研究室に来なくなって引きこもり留年していました。
研究がしたいという目的が無い状態で大学院に進学しても意味が無いだけでなく、その後の人生に悪い影響を与えるかもしれません。
あなたの進学目的が「内定ブルー」ではなく、本当に研究がしたいのか?しっかり問いかける必要があります。
(就職課のスタッフの方に相談してみると不安が和らぐかもしれません)
2.推薦での内定でも辞退は出来る
内定があるけど大学院に進学したい人の中には、推薦で内定を頂いている方もいると思います。
推薦を使ったことで内定を断ることは難しいと思われているかもしれませんが、結論から言いますと推薦でも内定を辞退することは出来ます。
参照記事:【要注意】推薦書を提出したら内定辞退はできない!? – 就活コラム – Meets company (ミーツカンパニー)【公式】 – オンラインでも就活イベント開催中
ただし、学校推薦でも教授推薦でも何かしらの影響はあると思っていた方が良いです。
(就活生本人に関しては怒られたり、謝りに行く程度ですが)
私の先輩は大学院に進学したくなり、教授推薦での内定を辞退するために教授と本人で会社に謝りに行ったそうです。
(大学院では引きこもってしまって、進学した意味がなかったのですが)
推薦した側に何かしら影響はあると思いますが、どうしても大学院に行きたい熱い気持ちを誰にも止めることは出来ません。
大学院に行きたいという思いを推薦してくれた側に伝えたら、そんなに大きな問題にはならずに済むと思います。
(学校推薦なら就職課、教授推薦なら教授)
逆に言えば、それくらいの熱い気持ちが無いのならば、大学院に進学する意味は無いと思います。
3.まとめ
当記事では内定があるのに大学院に進学したくなった時に考えるべき事を紹介しました。
大学院に進学しても2年後に同様に内定が頂ける保証もなく、お金の面で負担は大きいです。
そのため、研究を続けたいという情熱だけで内定辞退して進学するのは危険で、次の4つのことを考えた上で、それでも大学院に進学したいと思えれば進学してみてはどうでしょうか?
- 2年後に同様に内定が取れる保証は無い
- 初めから大学院を目指している同期との差
- お金の問題
- 内定ブルーの問題