当記事は超音波探傷試験レベル3(UT3)に合格するための勉強方法を紹介しています。
先日、UT3の2次試験に合格することが出来きました。
NDIレベル3の2次試験はD・E・Fの3つのパートがあり、全てで70%以上の得点を取得することが必要です。
当記事では、①D・E問題と②F問題の2つに分けて(私が感じた)勉強するポイントを解説していきます。
1. UT3 D・Eパートの対策
UT3のD・Eパートでは以下の内容が問われます
- パートD:UT3の基礎知識
- パートE:UTの適用、コード、規格に関する知識
この2つのパートは問題集を中心にしっかり勉強すれば確実に合格点が取れます。
(パートEで馴染みのない規格も出題されるので、覚えにくい・勉強しにくいという部分はありますが)
D・Eパートで合格点を取るための具体的な勉強方法はコチラです。
- レベル1、2の内容をしっかり復習する
- レベル3の教科書はサクッと読むくらいでOK
- 過去問を最初に取り組む
- NDIフラッシュ、問題集に取り組む
- JIS規格を頑張って覚える
それぞれ詳しく説明してきます。
①レベル1、2の内容をしっかり復習
UT3の試験勉強として最初に取り組むべきことは、UT1及びUT2の内容をしっかり復習することです。
UT3の知識を理解する上でUT2までの知識が無いと、教科書の内容が頭に入って来ません。
さらに、UT3のD・Eパートではレベル2までの知識で解ける問題が意外とあるので、UT2 だからといってバカには出来ないです。
(斜角探傷の計算問題や探触子の問題など)
UT2の試験やレベル3の基礎試験を合格してから長い期間空いてしまったなら、UT2の内容を復習しておくのがおススメです。
個人的にはコチラの書籍が1冊でUTの入門からUT3試験でも使える知識を勉強出来るのでおススメです。
特に、UT3でよく出題される次の3つの計算問題が分かりやすく解説されているのがポイントが高いです。
- DGS線図を使ったきず寸法の推定方法
- 形状反射能率を使ったきず寸法の推定方法
- 音圧反射率を使った問題
私もUT2の試験の時からお世話になっている本で、UT3の試験でも活躍してくれました。
②レベル3の教科書はサクッと読むくらいでOK
正直な所、UT3のテキストは試験に対してあまり役立ない印象があります。
試験とは関係無い部分が多く、試験に関して全部が全部出題される内容ではないからです。
そのため、難しい部分や理解出来ない部分があっても深追いして何回も読む必要は無いと思います。
UT2までの復習を終えたらサクッと1通りUT3の教科書を読んでから、次に過去問を勉強した方が効率的です。
過去問や問題集を解いた時に分からない部分を調べる時に見る程度でOKです。
反対に、過去問等で勉強する前に教科書を理解しようと時間をかけて理解しようとしても、試験問題に出ない部分も多くて勉強時間が無駄になる可能性が高いです。
③過去問を最初に取り組む
UT3の問題集を取り組む前に、非破壊検査工業会が会員向けに提供している過去問を解くのがおススメの勉強法です。
UT3の問題集をしっかり理解すればパートD・Eは合格出来ますが、この問題集が解説が全く無くて非常に勉強しにくいです。
一方で、工業会の過去問集は解説が分かりやすく、さらに教科書の何ページを見れば良いか書かれています。
そのため、問題集を取り組む前に過去問集に掲載されている代表的な問題を勉強する方が効率的に勉強が進みます。
(何年分もさかのぼる必要はなく、過去2回分程取り組めばOKです)
④NDT フラッシュ、問題集を取り組む
UT2の試験と同様にUT3問題集とNDT フラッシュ(日本非破壊検査協会発行)を繰り返し解けばUT3のD・Eパートは合格点を取れます。
NDTフラッシュは試験で重要な問題を詳しく解説されているため勉強して損はしません。
問題集は解答のみで解説がほぼ無いので、解説がしっかりしている過去問集とNDTフラッシュに取り組んだ後に問題集に進んだ方が、分からない問題が少なくなって効率的です。
ただ、問題集の中で分からない問題は自身で調べて解決していく必要があります。
自身で調べる手間を極力減らすため、先に過去問集とNDTフラッシュで勉強するのが効率の良い勉強法です。
⑤ 規格は頑張って覚える。
パートEの問題では規格に関する問題がたくさん出題されます。
規格は普段なじみのないモノも出題されるため、問題集で出題されている規格に関してはしっかり調べて覚えておく必要があります。
特にパートEはパートDよりも問題数が少ないため、間違うことが出来る数も必然的に少なくなります。
そのため、問題集にある規格はしっかり解けるように覚えておく事が重要です。
(なじみの無い規格を捨ててしまうと、パートEで不合格になる確率が一気に上がってしまいます)
※手元にJIS規格ハンドブックを置いておくと勉強がかなり進みます (手順書作成で必須ですし、イチイチ会社にあるハンドブックで調べるのは非常にメンドクサイです)
2.UT3 Fパートの対策
UT3を合格するための1番の難関はFパートの手順書問題です。
D・Eパートとは違って明確な解答が無いため、何をどこまで書けば良いのか分からない部分があります。
合格した先輩の答案を丸写したのに不合格になったという事例も良く聞きます。
(私もその一人で、4回手順書で不合格になっています)
そのため、多くの受験者が手探り状態で合格を目指すことになります。
UT3合格をゲット出来た今、私が思うFパートの対策は次の6つあります。
- JIS規格の理解
- NDT フラッシュの解説を理解
- 予想されるきずを検出出来る方法を提案し、簡潔に解答する
- 漢字間違いをしない
- 先輩の答案を丸写ししない
- 諦めずに挑戦する
それぞれ詳しく解説していきます。
①JIS規格の理解
UT3のFパートは4つの試験対象物から1つを選び、与えられた試験手順書に合わせて適切な手順書を作成する必要があります。
そのため、事前に試験対象物を選び手順書を作成して試験に挑む形になります。
手順書を作成するにあたり、1番重要なのがNDT手順の根拠となる規格を正しく理解することです。
規格を間違って覚えたものを手順書に反映してしまえば、予想されるきずに対して正しい方法で検査が出来ていない可能性があります。
それゆえ、試験では減点になってしまい不合格になる可能性が高まります。
正しいNDT手順を考える上で守るべき規格の内容を間違えると致命傷になりかねません。
そのため、JIS規格を始めとした規格は正しく理解することが大切です。
②NDTフラッシュの解説を理解
NDI試験を実施している日本非破壊検査協会から発行されているNDTフラッシュに、UT3のFパートに関する解説されている回があります。
いわゆる公式からの注意事項や試験のポイントが掲載されています。
Fパートに関する情報は非常に少ないので、NDTフラッシュの内容は非常に重要です。
(NDT手順書に書かれている事はしっかり手順書に反映させることが大切です)
参照先: No.8のUT-3手順書作成問題のポイント (1番最新)
一般社団法人 日本非破壊検査協会:資格試験:「NDTフラッシュ」コーナー/試験関連の情報:2021年NDTフラッシュ(機関誌VOL.70掲載分)
③予想されるきずを検出出来る方法を提案し、簡潔に解答する
選択した課題に対して与えられた試験対象物・試験条件によって予想されるきずを想定し、きずの見逃しがおきない検査方法を提案する必要があります。
さらに、解答を作成するにあたり、長々と書くか、必要な部分だけ簡潔に解答するか悩むと思います。
私も所属する先輩から「たくさん書けば受かる」と言われたことがあり、たくさん書くことを意識していましたが落ち続けていました。
ある時、半ば諦めモードで簡単に解答を作った結果、見事合格することが出来ました。
無理にたくさん書こうとすると、解答に間違いが増えて少しづつ減点ポイントが増えていく可能性があります。
必要な情報を必要な量で解答していくことが重要で、多すぎても不足していてもダメだと思っています。
(あくまで私の感じ方なので、UT3に合格している先輩から色々聞いて情報を集めるのが重要です)
④漢字間違いをしない
手順書を書く上で注意しなくてはいけないのが漢字間違いです。
漢字間違いをすると正しい用語にならないため、減点される可能性があります。
(漢字間違いは減点されるという話を聞いたことがありますが、真偽は不明です)
事前に答案作成をする際に、漢字や用語が間違って無いか確認することが重要です。
⑤先輩の答案を丸写ししない
NDIレベル2試験の指示書作成問題では、模範解答を覚えて本番の試験で丸写しするだけで合格出来ました。
一方でレベル3の手順書作成問題では先輩の答案を丸写してはイケナイと言われています。
(合格した答案をそのまま写したら不合格になることがあります)
実際に、NDTフラッシュでも過去の合格した答案を丸写しせずにオリジナル要素を足すことが大事だと名言されています。
(古い記事ですが、NDTフラッシュ Vol.64 No.10で名言されています)
合格した身近な先輩から情報を得ることは重要ですが、実際に解答する答案はオリジナルの答案を作成することが合格するために大切になってきます。
6.諦めずに挑戦
UT3に限らずNDIレベル3を受験する上で1番厄介なのが手順書作成問題です。
多くの受験者が手順書の壁にぶつかり、中には挫折する人もいます。
UT3を合格するために1番重要なのが諦めずに挑戦し続ける事だと思います。
私も4回連続で△の判定で手順書を落ちてしまいましたが、諦めずに試行錯誤した結果、5回目で合格することが出来ました。
試験に落ちると落ち込みますし嫌になります。
レベル3を持っていない、受験すらしていない人間からも「お前は勉強していないだけだろう」と言われたこともあります。
さらに、2020年秋季試験でのUT3合格率は1.1%と、最近の合格率は1桁台と厳しい状況が続いています。
ただ、UT3を合格するためには、そういう厳しい部分に負けずに合格するまで何回も試行錯誤して頑張り続けることが非常に重要にです。