当記事では放射線取扱主任者1種を独学で合格するためにのオススメの参考書と勉強方法を紹介しています。
第1種放射線取扱主任者試験は理系資格の中でも難関資格に分類される資格で、合格するためには長期間のスパンで計画的に勉強することが重要です。
私は市販の「マスターノート」というテキストと問題集を使って約6ヶ月間勉強することで合格点を取ることが出来ました。
(解答速報による自己採点の結果)
当記事では私が受験体験を元に、第1種放射線主任者試験に合格するためのポイントを紹介しています。
当記事を読むことで第1種放射線主任者試験に合格する方法を知ることが出来ます。
著者情報
化学系の大学院を卒業。元々は放射線に関する知識はゼロですが、働きながら2017年に第2種放射線主任者試験に合格。
その後、約4年の空白期間が出来てしまいましたが、2022年に第1種放射線取扱主任者試験に挑戦。
約6ヶ月の勉強の成果もあり、公式の解答速報による自己採点でトータル7割以上の得点 (物理は52点と足切りギリギリでしたが)。
2022年11月9日の合格発表にて合格を確認出来ました。
1.私が実際に使用したオススメ参考書4選
私が試験合格するために実際に使用した参考書は下記の4冊です。
- マスターノート (普段使い)
- 完全対策問題集 (普段使い)
- 放射線概論
- 放射線取扱主任者試験問題集
私は1のマスターノートと2の完全対策問題集を普段使いに使用し、プラスαで詳しく知りたい項目については放射線概論を読んで知識の補強を行いました。
さらに、試験直前の総仕上げとして4の過去問集を使用し、本試験と同様の時間で問題を解いていきました。
より詳しく、それぞれの参考書の特徴とオススメのポイントを紹介していきます。
1-1. 第1種放射線取扱主任者試験 マスターノート
第1種放射線取扱主任者試験の定番の参考書は「放射線概論」と声を大に言う人は多いと思います。
しかし、「放射線概論」は960ページと情報量が多すぎるので勉強するのは結構大変です。
一方でマスターノートは412ページと放射線概論よりも半分以上ページ数が少なく、試験に合格するための重要事項のみがまとまったテキストです。
放射線概論よりもページ数が少ない上にイラストや図解が多いので、放射線概論よりも非常に分かりやすい構成になっています。
実際に試験会場でも私以外にもマスターノートを見ている受験者の方が非常に多かったです。
合格するためだけなら、このマスターノートと過去問を繰り返せば合格点は十分取れると思います。
私はマスターノートを主軸に問題で分からなかった部分や、もう少し詳しく知りたい部分を放射線概論で補足しました。
1-2. 第1種放射線取扱主任者試験 完全対策問題集
私は普段使いに「完全対策問題集」という問題集を使用していました。
完全対策問題集は過去5年分の過去問題を出題分野に沿って整理・分類されている問題集です。
そのため、勉強した部分の問題演習にはもってこいで、マスターノートで勉強した部分を完全対策問題集ですぐ演習が出来ます。
私はマスターノートとコチラの完全対策問題集を普段使いで各分野を仕上げていきました。
1-3. 放射線概論
放射線概論は第1種放射線取扱主任者試験の定番の参考書として多くの人に知られています。
ただ、冒頭でも述べましたが、あまりにもページ数が多い上にマスターノートよりもイラストが少ないので勉強が進みにくい参考書です。
特に、私のように放射線に馴染みが無い方は結構厳しい戦いを強いられると思います。
そのため、私はマスターノートや問題集で勉強していてより詳しく知りたい時に放射線概論の該当部分を読んでいました。
情報量は半端ないので1冊手元に置いておくと、勉強して困ったと時にすぐに調べられるので、辞書として手元に置いておくのが非常に便利です。
ただ、試験に合格するだけならマスターノートと過去問だけで十分だったりします。
1-4. 放射線取扱主任者試験問題集
過去5年分の問題が収録されている過去問題集です。
完全問題集と収録されている問題は一緒ですが、分野ごとに整理されている完全問題集とは違って過去問題がそのまま収録されています。
そのため、試験直前の総仕上げにはコチラの試験問題集の方がオススメです。
過去問自体は原子力安全技術センターのHPに問題と解答が掲載されていますが、解説が無いので私はコチラの問題集を購入しました。
(この問題集は解答が非常に詳しいので勉強がかなりはかどります)
第1種主任者試験は物理をはじめ、かなり試験時間ギリギリまでかかる問題が多いです。
本番と一緒の形式の過去問集で本番さながら(時間配分)の総仕上げをするのがオススメです。
(本試験と同様に難しい問題はサッサと捨てて、解ける問題から解いていくように取り組むのがオススメ)
私は1-2で紹介した完全問題集を3周以上行ったほか、本番の仕上げとしてコチラの過去問集を3周して本番に挑みました。
2. 第1種放射線取扱主任者試験に合格する勉強手順
第1種放射線取扱主任者試験は「物理・化学・生物・実務・法令」と5つの科目があり、どれから勉強を始めたら良いのか非常に迷うと思います。
基本的には次の4つの順番で勉強すれば間違いは無いはずです。
- 放射線の知識がゼロの場合はエックス線作業主任者で基礎固め
- 物理・化学・生物を先に仕上げる
- 次に実務、最後に法令を仕上げる
- 過去問で総仕上げ
それぞれのポイントを紹介していきます。
順番①:放射線の知識がゼロの場合はエックス線作業主任者試験で基礎固め
放射線に関する知識がゼロの場合、いきなり1種の試験勉強をすると難しくて挫折する可能性が非常に高いです。
そのため、放射線に関する資格の中で最も基本的な「エックス線作業主任者試験」で放射線について触れるのがオススメ。
エックス線作業主任者試験は安全衛生技術試験協会が主催しており、難易度が易しく試験機会も2か月に1回のペースで行われており受験しやすい試験です。
上記写真のテキストと過去問を繰り返せば誰でも合格することが出来ます。
放射線に関する予備知識がゼロに近い場合は、エックス線作業主任者試験で基礎の基礎を固めてから第1種放射線主任者試験の勉強をスタートさせるのがオススメです。
【関連記事】
【資格】エックス線作業主任者試験に独学で合格するためのおススメなテキストを紹介します - 平太の雑談ブログ
また、大学や専門学校等で普段から放射線について学んでいる方は、いきなり第1種放射線取扱主任者試験を受験しましょう。
第1種放射線主任者の免状があれば申請によりエックス線作業主任者の資格が取得できるため、わざわざエックス線の試験を受ける必要は無いからです。
順番➁:物理・化学・生物を先に仕上げる
第1種放射線取扱主任者試験を合格する上で、「物理・化学・生物」を先に仕上げるのが1番効率的です。
その理由は「実務」という科目では、「物理・化学・生物」の知識が前提で問題を解くことが多いため。
先に「実務」を勉強しても良いのですが、結局は「物理・化学・生物」に戻ることになって勉強の効率が悪くなります。
また、「法令」は完全に暗記科目(計算問題のような考えさせる問題が少ない)なので、多くのブログ等で最後の最後に一気に暗記するのがオススメとされています。
「物理・化学・生物」の中でどれを先に勉強するかは自由です。
学生時代に得意だった科目があれば、その科目から勉強を始めると一気にスタートダッシュが出来ます。
ちなみに、計算問題は生物が数問。物理と化学はそれぞれ同じ位の割合で計算問題があります(全問題の中で約50%くらいのイメージ)。
計算問題が苦手な場合は先に生物を勉強してから、次に物理・化学を取り組むのがオススメです。
私は生物→物理→化学の順番で勉強をしました。
その理由は過去に第2種放射線主任者試験を合格したにも関わらず、物理・化学の内容をいっさい覚えておらず、生物だけ何となく覚えている部分があったからです。
順番③:4番目に実務、5番目に法令を仕上げる
物理・生物・化学を仕上げたら、4番目に実務を勉強するのがオススメです。
実務の科目は測定技術学と管理技術学の2つから構成されています。
実務は物理・化学・生物の知識で解ける問題が多く、知識が重なる部分があるので勉強しやすいと思います。
また、実務の中でも測定技術学の「計数値の取扱」と「各検出器」の内容は、物理の項目でも出題されます。
ただ、物理の章にはこの2つの項目が掲載されていないため注意が必要です。
(物理を勉強していてテキストに無い項目があれば、いったん飛ばして実務で勉強してから問題を解くのがオススメです)
法令は最後に勉強するのがオススメです。
計算問題や考えさせる問題がほとんどなく、ほぼ暗記するだけの科目と考えてもOKです。
法令は5科目の中で1番得点源にしやすい科目で8割以上は十分狙えます。
(試験は各科目5割以上かつ全体で6割なので、法令で8割取れれば2科目は5割でも大丈夫という計算がたちます)
ただ注意したいのは、法令は試験の1番最初の科目であるため、ここでつまづくと一気にモチベーションが下がり、残り4科目にかなりの影響が出ます。
ただの暗記科目と油断せずに、他の科目と同様に十分な勉強時間を確保して本番の試験でスタートダッシュを決めましょう。
順番④:過去問で総仕上げ
第1種放射線取扱主任者試験は時間の割に問題数が非常に多いです。
実際の試験では時間配分が非常に大切。私も本番の試験ではかなり時間に追われました。
そのため、実際の過去問で本番の試験時間を厳守して問題を解いていくことが重要です。
私は「完全対策問題集」で日常的に問題演習を行い、8月に入ってから過去問集で過去問を繰り返し解いていました。
学生の方は夏休み、会社員の方はお盆休みを利用して徹底的に過去問を解いていくのがオススメです。
3:復習を重視しながら新しい項目の勉強を進める
第1種放射線取扱主任者は5科目あり、それぞれの科目で結構なボリュームがあります。
そのため、すでに勉強が済んだ科目を復習し続けるながら新しい科目の勉強を進めていくことが重要です。
1科目の勉強が仕上がったら、その科目を復習しながら次の2科目目を勉強。次は1科目・2科目目を復習しながら3科目目を勉強していくといった具合です。
1つの科目を勉強して、そのまま放置して他の科目を勉強していけば、いずれは忘れてしまいます。
1度勉強したことを忘れてしまっていては、ボリュームが多い主任者試験に中々合格点まで到達するのは難しいです。
私は完全対策問題集を繰り返し解きながら、すでに勉強した科目を忘れないように復習していました。
平日は復習用の問題演習1時間、あたらしい科目の勉強1時間といった具合に復習と新しい科目の勉強をバランスよく進めていきました。
すでに勉強した科目を忘れないように復習し続けることが合格への鍵です。
上手く復習していく方法は「大量に覚えて絶対に忘れない紙1枚勉強法」という書籍が非常に役立ちます。
私もコチラの書籍を参考に復習と新しい科目の勉強をバランスよく進めることが出来ました。
4.第1種放射線取扱主任者試験に合格するポイント4選
私が資格受験を通して感じた第1種放射線取扱主任者試験に合格するためのポイントは次の5つです。
- 捨てる問題を見極める
- 5科目の中で「法令」と「物理」が鍵
- よく出題される核種の壊変・半減期・エネルギーは覚える
- 計算問題は本番の同様に絶対に手で計算する
- 勉強ノートは作らない
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1. 捨てる問題を見極める
第1種放射線取扱主任者試験の合格点は各科目5割以上かつ全体で6割以上を取得することです。
そのため、本番の試験ではいかにして各科目のどこで60点分稼ぐのかが重要になります。
特に、計算問題が多い物理・化学・実務の3科目は時間が足りなくなる恐れが高いです。
1つのよく分からない問題でずっと悩んでしまうと、後半時間が足りなくて時間に焦って計算ミスしたり、時間があれば正解できた問題に到達できなくなる可能性が高くなります。
本番の試験は6割取れれば良いと割り切って、問題文を1回読んで悩んだら後に飛ばして出来る問題だけ確実に解くことが重要です。
物理・化学・生物・実務は60点満点で60個マークする箇所があります 。
1マーク1点分の価値しかないので問題の重要度はどれも一緒です。分からない問題は捨てる問題と割り切って、36マーク分正解を目指しましょう!!
(逆に言えば24マーク分は捨てれます)
また、物理・化学・生物の試験問題は1問1答式の問題が30問、文章問題が2問(30マーク分)あります。
文章問題の中で、特に計算問題が多い物理・化学では最初の計算で使った答えを次の問題の解答を導くのに使われることが良くあります。
(例えば 解答Aの答えを使って解答Bの答えを導く)
そのため、文章問題の中で最初の方の解答を間違えてしまうと、連動して次の答えも間違えてしまうという負の連鎖が起こりやすいです。
そのため、つながりの無い1問1答式の問題にあまり時間は使わずに、文章問題に多めに時間を使えるように時間配分を工夫する必要があります。
私は1問1答式の問題の中で良くわからない問題や計算に時間がかかりそうな問題は後に回して、出来るだけ短時間で1問1答式の30問をすませるようにしました。
(30問中6割の18マーク分取れればOKくらいの気持ちで、捨てる問題を見極めるのが良いと思います)
実務の科目は文章問題が6問(10マーク分×6問)出されるので、最初に全問題を見て1番簡単そうな問題から随時解いていくのがオススメです。
実務の試験時間は110分のため、1つの文章問題に15~20分しか時間をかけれません。
そのため、試験問題の最初から解くのではなく、計算問題が少なくて短時間で解答出来る問題や、過去問と類似の正解できそうな問題から解き始めるのが効率が良く得点が稼げます。
4-2. 5科目の中で「法令」と「物理」が鍵
主任者試験5科目の中で合格するために重要な科目は「法令」と「物理」だと思います。
「法令」は初日1番最初の試験科目のため、ここでつまづくと一気に試験に対するモチベーションや集中力が下がり、他の科目でつまらないミスをする可能性が高くなります。
「法令」はほぼ暗記科目で考えさせるような問題が無いので得点が稼ぎやすいく、8割以上取れれば2科目分が5割ギリギリでも平均6割に乗せることが出来ます。
主任者試験で最高のスタートダッシュを決めるためにも、「法令」はかなり重要な立ち位置にいます。
次に鍵となる科目が「物理」です。
初日3科目中1番最後の科目のため、疲労による計算ミスが結構起こりやすくなります。
私も「物理」で何でこの問題を間違えてしまったのか?という問題が何問かありました。
(実務が予想以上に難しくて意気消沈したのも原因でしたが)
そのため、試験対策として必ず本番と同じ時間帯で過去問演習を行い、試験に対する体力をつけることが重要です。
また、本番では計算ミスをしないように1個1個確認しながら慎重に解き進めるのがオススメです。
4-3. よく出題される核種の壊変・半減期・エネルギーは覚える
第1種放射線取扱主任者試験では、特に化学・実務の問題で各核種の壊変の種類・半減期・エネルギーを問われることが多く、これらは事前に暗記していないと解けません。
マスターノートの化学の最後のページに「よく出題される核種まとめ」があるので、ここは必ず覚えて試験に挑む必要があります。
暗記するのは大変ですが、逆に言えば覚えているだけで解ける問題もあるので頑張って覚えておきましょう。
(覚えているだけで一気にサービス問題に変わることも)
下記のYoutube動画で核種の語呂合わせが紹介されていますので、暗記の助けに役立ちます。
【参考動画】
【語呂合わせ】放射性同位体(放射線取扱主任者試験) - YouTube
4-4. 計算問題は本番同様に絶対手で計算する
主任者試験の大きな特徴として電卓の持ち込みが不可なことがあげられます。
電卓持ち込み不可にも関わらず、結構面倒な計算問題が出題されるのが主任者試験の厄介な所です。
そのため、普段の試験勉強の時から電卓を使わずに本番同様に手計算で必ず問題を解くことが重要です。
私の会社で試験勉強の時は楽さを求めて電卓を使う人がいますが、絶対に本番でつまづくので絶対に辞めてください。
(案の定、思いのほか手計算に時間がかかって時間が足りずに落ちてます)
手計算する時のポイントは出来るだけ大きく数式を書き、何かを計算したらこまめに行を変えることです。
数字を小さく書いたり、一行の式で約分や掛け算して色々とゴチャゴチャになると何が何だか分からなくなるからです。
また、解答欄を見て数字に大きな開きがあるならば、数字を計算しやすい数字に繰り上げることも重要です。
(0.693を0.7にしたり、1.11を1にしたり)
その当たりの程度も実際に過去問で手計算してみないと分からないので、絶対に手計算で慣れておくのが重要です。
4-5.勉強ノートは作らない
色々な資格試験の勉強法に関する書籍で言われているのが、勉強ノートを作るのは非常に無駄な勉強方法ということ。
1からノートに綺麗にまとめるのは時間の無駄で、最初から良くまとめられているテキストに必要事項を直接書き込めばOKです。
第1種放射線取扱主任者試験には「マスターノート」という非常に良くまとめられているテキストがあります。
私はよく間違える問題に関する知識をマスターノートに直接記入しながら勉強を進めていきました。
ノートを1から作るのは非常に意味の無い事ですので、すでに良くまとまっているテキストに直接書き込みながら勉強をするのがオススメです。
5.まとめ
当記事では第1種放射線取扱主任者試験に合格するためのテキストや勉強方法について紹介しました。
第1種放射線取扱主任者試験は理系資格の中でも難易度は非常に高く、取得出来れば社内や就活での評価はかなり高まります。
難易度は高い試験ですが、長期間しっかり勉強計画を立てて毎日勉強すれば誰でも合格することは可能です。
当記事で書いたポイントを押さえていけば合格に近づくことが出来ます。
その中でも合格する上で1番重要なのはテキスト選びです。数ある参考書の中でも「マスターノート」が1番分かりやすくてオススメです。
当記事があなたの試験対策の参考になれば幸いです。